グレート・ギャツビー / スコット・フィッツジェラルド
グレート・ギャツビー / The Great Gatsby
スコット・フィッツジェラルド / 訳:村上春樹
発行:1925年4月
村上春樹が1番影響を受けた作品として挙げていたので読んでみました。
ネタバレありなので注意。
「それほどか……?」って気持ちもあったけれど、英語の美麗さに関しては訳文だから損なわれて当たり前で、それでも何か感じるものは確かにある作品だった。
人死に落ちは若干唐突で陳腐に感じてしまったけれど、ダレずに登場人物を劇的な行動に移させるにはこれしかないのかなあとも思う。
なんせ1925年の作品なのだ。後発の作品をいろいろ吸収してから「凡庸な展開」と感じる僕とフィッツジェラルドは一体どちらが未来に生きているのか考えてしまう。
切り捨てられるように死んでいったギャツビーの葬儀に誰も来ないところとか、東部に出てきた西部の人たちの馴染めない感じとか、人生の虚しさみたいな雰囲気が印象に残った。
けれど、最後は悲劇のまま終わらないところはなんだか良いなと思った。以下本文。
ギャツビーは緑の灯火を信じていた。年を追うごとに我々の前からどんどん遠のいていく、陶酔に満ちた未来を。それはあのとき我々の手からすり抜けていった。でもまだ大丈夫。明日はもっと速く走ろう。両腕をもっと先まで差し出そう。……そうすればある晴れた朝に――だからこそ我々は、前へ前へと進み続けるのだ。流れに立ち向かうボートのように、絶え間なく過去へと押し戻されながらも。
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