『ワールドトリガー』おもしろい (#330)
ワールドトリガー(ジャンプ連載)がおもしろい。
ので、読んだことのない人は興味を持ってください。
ざっくりどんな漫画か
異世界からの侵略者と戦う(+訓練として仲間どうしでも結構チーム戦をやる)って漫画なのだけれど、
- 変身して戦う(=生身の戦闘ではない)からガンガン手脚が飛ぶ
- 武器や味方の特徴を考えて、すごく戦術を重視して戦う
- 敵役となるキャラクターにも厚みがある(立場の違いで理由あって戦う感じだったり)
などなど、いろいろジャンプっぽくない漫画なのだけれど、すごくイイ。
すごくイイ。
ジャンプっぽくない主人公たち
例えば、主人公、三雲修は特に能力があるわけでもない、すごく凡人。
ここまではまだあり得る設定なのだけれど、この主人公、本当に実力の差でめちゃくちゃに弱い。
一応、頭を使う路線で光るものがあったり、本人は着実に成長しているのだけれど、
「才能がある人も努力してるんだから、普通のことをしていても追いつくのは難しいよね」
とか言われてしまうのがこのワールドトリガーの世界観だったりする。シビア。
そして逆に、親友ポジション(空閑遊真)はかなり強い。
弱い主人公の代わりに、といっては何だけれど、「最初から反則級の強さ」みたいなジャンプ的要素は彼が担っている。
……と思ったら、先輩との10本勝負の結果が1-9の負け越しで、さらっと「上には上がいる」みたいなことを描かれたりして、なかなかこちらもシビアな世界だったり。
ヒロイン(?)の雨取千佳は、この世界のHP兼MP的なパラメータである「トリオン」の量が生まれつき桁違いに大きくて、
この「トリオン」を利用するため、身内・異世界に関わらずアプローチがあって話が動いていく。
ほら、世の中結局才能じゃないですか。
真面目にいいところを書く
異彩を放つ世界観
まずこれは僕の固定観念かもしれないけど、ジャンプの漫画って
「主人公の謎覚醒パワー、後から付け足される設定、前の部を完全否定するインフレ」
なイメージがわりと強くて。
その点、ワールドトリガーが異様なところは、上に書いたように主人公は雑魚だし、設定も「そこまでいるの?」ってぐらい作りこまれているし、インフレも何も最初から「上には上がいる」の別格に強い先輩が沢山いる。
そういった部分は何度も書くけどやっぱりジャンプっぽくない。
とにかく丁寧な葦原(作者)
設定の話をすると、登場人物に関しては、主人公たち以外にもチームが沢山あって、まだ本筋に絡んでないチームまである程度キャラが出来ていたり、とにかく1人1人のキャラクターを大事にしている印象があって良い。
加えて、未来を予知できる能力をもったキャラがいて、彼の言動や行動がそのまま先の展開への伏線になっているのだけれど、その伏線が回収された時にはじめて今読んでいる章の設計図の大きさに気づく、みたいな。
この「登場人物への愛」や「綺麗に積み上げられたストーリー・設定」がワールドトリガーの最大の魅力だと僕は思う、のだ。
あんまり強くないと思っていたキャラが相性によっては大活躍したり、強大な壁だったライバルたちも、侵略からの防衛戦では超頼もしい味方になったり、1人が敵に負けても引き出した相手の情報で次の仲間が有利になったり、
そういった感じに、すごく丁寧な漫画なのだ。
あえて難点を挙げる
ワールドトリガーの良さと難しさはうらおもてだと思うので、初めて読む人がつまづきそうな部分をあえて挙げようじゃないか。
そして、基本的に何周も読むのが解決策です。
実を言うと、そもそもこのワールドトリガーという漫画が、2・3周目が本番と言えるような強烈な再読性のある漫画なので、序盤で脱落するのはすごくもったいないのだ。
1周めでついていけない要素があっても、まずは通して読んでみて欲しい。
だいたいの人が同じ要素でつまづくと思われるので、下に挙げるものは1周めですべて把握するのは無理、って感じでOKです。
キャラクターが多くて覚えられない
キャラを大事にしすぎた反動で登場人物はめっちゃ多い。まず間違いなく混乱する部分。
決して描き分けが出来ていないわけではないのだけれど、序盤に登場したキャラはやや造形が素朴なのでその辺りがわかりづらいのかも。
今ならキャラクターブックの「BBF」が出ているから、ネタバレを過度に気にしなければこれを手元に置くのはアリ。
設定が複雑
こちらも丁寧がすぎるあまり初見ですべてを理解するのは難しい。
特に戦闘員3タイプとそれぞれの武器あたりが難しい。
その場で覚えられなくても読んでいくうちに把握できるものも多いから気にせず飛ばそう。
休載が結構ある(最近は無い)
作者が身体を壊して以降、3載1休ぐらいのペースで休載が入る。
(最近は順調に載っていて逆に心配。ワールドトリガー読者は載りすぎると心配しだすきらいがある。)
休載の週はハンターハンターを読むなどして精神を安定させましょう。
そんな感じで、本当におもしろい漫画で語ろうと思えばいくらでも語れるのだけれど、さすがにもう誰も読んでいない気がしたので筆を置きます。では。
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