ユニヲンジャック

外出た/瞬間/やっていくしかない

『Wonder Future』 の感想 (#338)

先日僕の大好きなアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)の新アルバムが出たので感想とか書くよ。

アジカンを(リライトしか)知らない人が多いだろうけど非常に良いバンドなので是非。

思ったよりアクセスがあったので雑だった部分を中心により聴きこんでの感想を追記しました。色を変えてあります。(2015/08/02)

01. Easter / 復活祭
02. Little Lennon / 小さなレノン
03. Winner and Loser / 勝者と敗者
04. Caterpillar / 芋虫
05. Eternal Sunshine / 永遠の陽光
06. Planet of the Apes / 猿の惑星
07. Standard / スタンダード
08. Wonder Future / ワンダーフューチャー
09. Prisoner in a Frame / 額の中の囚人
10. Signal on the Street / 街頭のシグナル
11. Opera Glasses / オペラグラス

全体の感想

アルバム全体としては

アジカンを全く知らない黒人に全アルバム聴かせて並べ替えさせても最新に持ってくるぐらい最新なんだけれど、個々の曲は意外とちょっと懐かしいアジカン的な雰囲気の曲も多いかなと感じました。(後退している、というわけではないです。)

『ファンクラブ』あたりの廃退的な感じというか、『マジックディスク』のどこか薄暗い感じというか。

中村佑介のジャケットじゃないあたりも含めてかなりコンセプトが統一されたアルバムだなあって印象。

最近のアジカン、というかボーカルのゴッチ(後藤正文)は政治的な発言で変に目立ったり、中村祐介ジャケットじゃなかったり、

「ちょっといろいろ迷走してるのカナー」とか思ってたけれど、そのへんの心配が杞憂にすぎなかったのは嬉しい。良くも悪くも確実にアジカンのアルバムだな、と確実に言える。

個人的には政治的な発言やツイッターについては特に思うところは無くて、ピカソのゲルニカみたいに作者の中にはテーマがあっても、それをどう作品の形に表現するかがアーティストだと思うし、ゴッチ本人もインタビューで「作品に意味を立ち上げるのは受け手側」って言ってたワケで、はい。

あと『ファンクラブ』に似てると思ったのは聴けば聴くほどイイカンジに思えてくる感覚も込みで。どこかの界隈ではスルメ盤とか言うらしく、あんまりカッコいい語彙だとは思わないけれどそんな感じです。

01. Easter / 復活祭

シングルにもなった1曲目。正直シングルのときは微妙だと思ってたけど、アルバムを通して聴くと1番目にこの曲があるのはすごくいい構成というかアルバムありきの曲なのかな、という感想。

イントロから質量のある音が流れる曲だから1曲目にあることでアルバム全体が引き締まった印象になるし、アメリカの良いスタジオで録音したらしくて、その「感じ」がすごく伝わる。

最後のサビの「燃え上がっていいんだぜ」の部分でドラムが変則的になるのがすごくカッコイイ。

英語タイトルは海外用らしいすね、この辺も変に中二感があって心配してたけど理由を知って納得です。

02. Little Lennon / 小さなレノン

タイトルのワリに大人しい歌詞だな、という感想。まあオブラートでグルグルに包んで抽象的にするのがアジカンの特長なんだけれども。

イースターからこの曲への流れがすごくカッコいい。ここだけに限らず、今回のアルバムは曲順がすごく印象的だからシャッフル再生よりも通して聴くほうが絶対に良いです。

「地下鉄からのスロープにバンクシー」って歌詞がイイ。Banksyについてはこのサイトでも昔触れているのですが特に読む価値はないです。

03. Winner and Loser / 勝者と敗者

全然何言ってるかわかんねぇ!ってことで歌詞を見たらおお楽しい歌詞じゃないすか、的な曲。

アジカンは滑舌が良いとは言い難い+謎ボキャブラリー歌詞で聴き取れないことは多々ある。そんな別角度のアジカンらしさが詰まった1曲。(なんだそれ)

叫ぶ部分もなんか懐かしくて良いです。昔の曲でもあんなに叫んでるのは実際無いんだけどいつの間にか叫びの印象が強化されてて、その実際と印象とのギャップを埋めるのがこの曲ぐらいの叫びなのかなあ。

04. Caterpillar / 芋虫

さっきは抽象的な歌詞が云々って言ったけどこの曲に至ってはかなり直球。まあ歌詞がそのまま曲の意味じゃないからやっぱり抽象的とも言えるかもしれないんだけど。僕はそこまで好みじゃないかも。

聞き慣れたあとの感想になると、歌詞はやっぱりちょっとキツいけど曲はシンプルで良いなあって感じ。

どうでもいいけど日本のパスポートってそれこそ法外な値段で売れるらしいすね。

05. Eternal Sunshine / 永遠の陽光

いいよね。かなり好き、だけどここにはそんなに特筆することがないというか。

「閉店間際カフェの隅で くたびれた老紳士に ウェイターが冷めた夕闇を 欠けたグラスにサーヴして」

この、「情景がすごく思い浮かぶんだけど、意味が分からない」感がすごく好き。

僕は村上春樹が好きなのだけれど、その文章の面白さに近いと個人的には思いました。

06. Planet of the Apes / 猿の惑星

一転して攻撃的な曲。だけどこっちは『Caterpillar / 芋虫』と違ってなんか好きだな、やっぱ歌詞かな。

短めの曲でおさまりも良いし。

07. Standard / スタンダード

初出が違う(『NANO-MUGEN COMPILATION 2014』収録)せいか、単なる思い込みか、ちょっとアルバムの中では浮いた存在に感じる。

なんだろう、良い曲すぎて他の曲みたくひっかかるところが無いような気がするのかな。

曲自体はアルバム内でも1番2番ぐらい好きなんだけれど。

08. Wonder Future / ワンダーフューチャー

アルバムと同じタイトルだけど、この曲がこのアルバムを表す1曲には思えないんだよナー。

(公式ブログの解説では、この曲があって、そのタイトルをアルバム名にしたらしいです。)

「良い歌詞」って感想を結構見たけど、残念ながら僕は歌詞を日本語として聴く能力があまりないのでピンと来ません。

歌詞カードを見て「解釈」はするのだけれど、文章を読むように歌詞を聴くことはあまりなくて、邦楽も洋楽も同じような感じで聴いているというか。

単純に良い未来(への祈り的な)って意味のワンダーフューチャーなのかな、そのへんはちょっと分からないッス。

09. Prisoner in a Frame / 額の中の囚人

とてもアジカン的な曲。歌詞が書き言葉と実際の歌でちょっと入れ替わってるあたりトリッキー。

この曲のほうが「Wonder Future」のコンセプトには近いように思う。

最初にも書いたけど、「作品に意味を立ち上げるのは受け手側」っていうゴッチの発言があって、ジャケットが真っ白で、それが

「有名な画家の抽象画 流暢に語るキャプションを 彼は冷淡に笑う」

って歌詞の通りで、確かに世の中説明が多すぎるな、ってふと思ったりして。

感想なんて、自分がどう感じるか、ってだけでも十分なはずなのに、

それこそ美術館のキャプションのように正解とされる意義だけを押し付けたり、意見が違う人を馬鹿にしたり(ネットは特にその傾向が強いよね)、

一人で聴いてればいいのに感想文を自分のサイトにアップしたり(自虐)

10. Signal on the Street / 街頭のシグナル

これもアジカンらしい曲。主にドラムが引っ張ってるあたりが。

アルバム後半に行くにつれて歌詞から毒気が抜けていっているような気が。気のせいかな。

11. Opera Glasses / オペラグラス

アルバムの最後は名曲の法則。でも何かと比べがちな『ファンクラブ』の最後は『タイトロープ』だったからやっぱり進化してるナー、とか。

いや、タイトロープもいいんだけれど。インパクトの差かなあ。

ギターのパララーパララーがカッコよいです。伝わらない気が。

そんな感じで、はい。

今回のアルバムも難産だったらしいけれどファンとしてはやっぱりアジカンとしての活動を一番楽しみにしていて、これからも頑張ってほしいなあ。

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