じゃがりこのジャーマンポテト (#362)
かつて、僕の中でじゃがりこと言えば、「サラダ」「チーズ」「じゃがバター」そして「ジャーマンポテト」だった。
どうしてかはわからないが、小学6年生のときに期間限定で販売されていた「ジャーマンポテト」を、最近までレギュラーだと思い込んでいた。
「最近見かけないけど、あいつは元気でやってるかなあ」
「今は原材料とかの関係で干されてるけど、いつかまた戻ってきてくれるよな」
と、実はゲストメンバーでしかなかったジャーマンポテトを、脱退してしまったバンドのメンバーか何かのような心境で捉えていたのだ。
そんなジャーマンポテトに、およそ10年ぶりに再会した。
彼は「ゴロゴロ」という10年前にはなかった形容詞を身に着けて、コンビニの棚に佇んでいた。
この10年の間に、彼は少し変わった。
そして、僕もまた、20歳を越えて大人になって、何かが少し変わったのだろう。
それでも、僕たちの関係は10年前と少しも変わっていない。
僕が彼を食べて、彼は僕に食べられる。そこには確かに、10年前のあの日の香りが漂っていた。
そして僕は彼に尋ねる。
「こんな味だったっけ。」
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