ユニヲンジャック

柏レイソルも高安も逝って僕は無敵の人になってしまった。

高い窓 / レイモンド・チャンドラー

高い窓 / The High Window

レイモンド・チャンドラー / 訳:村上春樹

ハヤカワミステリ文庫・2016年09月
(早川書房・2014年12月)

村上春樹が影響を受けた作家の1人であるところのレイモンド・チャンドラーを村上春樹自身が再翻訳しているという概要です。

『高い窓』はフィリップ・マーロウという私立探偵を主人公にしたシリーズの一冊で、僕は最近このシリーズにすごくハマっているのだけれど、チャンドラーは60年前に死んでいてストックは有限なので、はい。寂しい。

ちなみに翻訳自体も絶賛刊行中・文庫化中なのでまだ全作揃っていないことを最近知った。無限だ。

内容自体は私立探偵マーロウのもとに何かしら事件が持ち込まれて、深淵を調べている内に深淵に腰ぐらいまで浸かっていて(というか自ら浸かりにいって)、ウイスキーを何杯かキメて人が何人か死んだ末に何かしらの結論が得られたり得られなかったりする。やれやれ、タフな話だ。

こちらが本家なのだけれど村上春樹に似た作風。こっちの方が主人公がハードボイルドでカッコイイ。

『高い窓』では『ロング・グッドバイ』や『さよなら、愛しい人』ほどインパクトがあって良いと思うキャラクターは少なくて、マーロウの一人演技的な要素が強かった。

その分ミステリ的なプロットはしっかりしている(解説より)らしい。そう言われれば……そうなんすかね、はい。

そもそもチャンドラーも村上春樹同様に話の展開・顛末自体にあまり価値のあるプレゼントが用意されていなくて、読んでいる道中のあれこれを楽しむタイプの作家だと思うので、ミステリ好きが読んで満足できるかというと決してそんなことはない。

じゃあ誰が喜ぶのかというと読書好きが喜ぶので、あと村上春樹と比べるならば確実に読みやすいしキャッチーな展開もあるので氏の小説がダメだった人でも翻訳ならどうでしょうみたいな。

『高い窓』の感想にあんまりなってないけれど、感銘を受けた言い回しもあったんだけれどな……メモを取りながら読みでもしないと意外と何も残らなかったりする。

読み減りするタイプの小説でもないのでまた読むかもしれないし、そういって読んだ本などないような気もする。

とにかく心に残るのは、西海岸の私立探偵がそうであるように、我々も自分の美学を持ってやっていく必要がある。

本編では悪口として使われる形容詞だけど、「タフ」でありたい、そんな思いに駆られる一冊だ。

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