ユニヲンジャック

・・・/ーーー/やっていくしかない

全世界 私に賭けろよ! (#608)

テキスト

こんにちは、皆さんは負けず嫌いですか。

僕は取り立てて負けず嫌いではないのだけれど、それでも「皆で手を繋いでゴール」みたいな思想はFAKEだと思っている1人ではある。

というわけで、全世界『メダリスト』を読むんだ。

詳しい説明はいっさい省くとして、

人生で「全世界 私に賭けろよ!」って気持ちになったことがあるかというと、まあ無いじゃないすか。

もしこれが、クラスでは出来ない子として扱われていた子から出てくるのだとしたら、その過程に何があったか気になるじゃないすか。

『メダリスト』を読むんだ。

その出来ない子であるところの主人公・いのりさんが周回遅れでフィギュアを始めて、新米コーチの司先生とともに下剋上を起こしていく……令和最新の熱血スポ根漫画なのだ。

この漫画で僕がグッとくるのは、いのりさんがちゃんと負けず嫌いで、いつだって今日勝つことに全力なところだ。

本気で頑張ることとか、勝利への執着、もしくは優劣を決めることに対してさえ薄っすらと忌避感が滲んでいるようなこの時代に、

ド直球に全員を超えて1位を獲ることだけ考えるいのりさんは気持ちが良いし、ある種の闘争心を刺激されてゾクゾクする。

負けるより勝つ方が良いに決まっているし、銀メダルより金メダルが良いに決まっているのだ。

そんな当たり前のことすら忘れて賢しくなりすぎた僕たちを、『メダリスト』は分からせてくれる。

最初に引用した「全世界 私に賭けろよ!」の前段には、こんなフレーズの独白が置かれる。

少し怖いけど大丈夫
負けたら罰を受けるから
だから
だから
全世界 私に賭けろよ!

自己肯定感の低かった出来ない子が、内罰的な思いを抱えたまま、それでも自分の価値を認めて前を向く。

ただの根性論でもない、ただのロジックでもない、この漫画を象徴する本当に良いシーンなのだ。

読者の僕たちは年齢的にも立場的にもどう考えてもコーチの視点なはずなのに、局面局面で選手たちに感情移入して、シンクロして、ジャンプを跳んでいる。

その瞬間僕たちも、ちょっとだけ無敵になれる。そんなパワーをぜひ受け取ってほしい。

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