ユニヲンジャック

外出た/瞬間/やっていくしかない

『有頂天家族 二代目の帰朝』 の感想など (#324)

読書

124

『有頂天家族 二代目の帰朝』森見登美彦

読み終わったので感想。ネタバレ度は低いけれど何も知らずに読みたい人は後半以降注意です。

まずざっくりとした感想、いいカンジに面白かった。

読書に求める面白さって人それぞれだからそこはわからないけれど、

例えば僕の場合、話のオチが、とか伏線の回収が、とかよりも読んでいる途中の世界観だったり作者の文体だったり、さらには自分が本を読むという行動だったり、

そういった部分に面白さ、主眼を置いてると感じる。そういう人だったらたぶんまず安定して楽しめると思う。

ずいぶん堅い感じに書いたけれどこれを読もうとする人ってほぼ一部を読んでいる人だから、一部が肌に合えばまず間違いない一冊カナー。

まず本の装丁が素晴らしく素晴らしい。

僕は一部は文庫で買っているんだけれど、二部は単行本で買ったのだ。表紙の繊細かつ大胆な絵にも惹かれて買った節があって、この手触りとか紙質とか厚みとかはやっぱり単行本に軍配があがる。

さっき書いた「自分が本を読む行動」って部分はこのことで、読書の楽しみって中身だけじゃないわけで、本を読んでる時間や本棚に並べる空間まで考えると、この本はすごくポイント高いです。

話の中身としては、前半~中盤は数々の新キャラが登場してそれぞれのエピソード(基本矢三郎は絡む)、

季節が冬に変わる頃からが後半って感じで一部から一年後の偽右衛門選挙で新キャラ旧キャラ入り乱れて終幕へ、もしくは三部へ、って流れ。

新キャラとしては、表題にある「二代目」赤玉先生の息子、矢一郎の幼馴染の南禅寺家の玉瀾、怪人天満屋、母方の祖母(名前失念)、あと一部でほぼ出番が無かった現偽右衛門の八坂平太郎(ハワイのやつ)、あと夷川家のアレとかその辺。

書き出して分かる通り新キャラがかなり多い。そしてアクが強い。

それぞれの紹介エピソードを短編のような形で追いながら偽右衛門選挙に繋がるんだけど、全員が全員ラストに繋がるわけでもなくて、別に紹介エピソードの要素がラストに生きるわけでもなくて、その辺は一部からするとずいぶんとっ散らかった印象。

まあでも、久しぶりに有頂天の世界観や森見登美彦の文体を楽しめて僕なんかはそれで十分だから新キャラはどんどん出してくれて構わんよ的な。どんどん散らかしてくれて構わんよ的な。

新キャラがどうしても目立つけど、海星や淀川先生なんかはこの部の方が目立ってたんじゃないかな。相変わらず金曜倶楽部のその他の人たちは地味だけど。

あとは一部のアニメ化が素晴らしかったので、もし映像になったらこの二部も楽しそうな要素が沢山あるからそこが楽しみ。

特に後半のかき回しぶりは太陽の塔や四畳半を彷彿とさせるようなこれぞ森見登美彦的なカオスになっていて非常に楽しかった。

おもしろきことはよきことなり。(これ言っとけば大体オッケー)

コメント投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です