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『すべてがFになる』 の感想など (#375)

読書

すべてがFになる カバーイラスト

『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』 森博嗣

読んだので感想書きます。ネタバレはほぼ有りませんが、何も知らずに読みたい人は注意です。

世界観・ストーリー

1言でいうと「ミステリー」(この作者風に言うと「ミステリィ」)

密室で殺人事件が起きて、犯人はどうやってその密室に侵入・脱出したのか?っていうテーマ自体はよくあるタイプのもの。

この作品が他と違って異質だと思ったのは、「登場人物がガチガチの理系」ということと、舞台が「全面的にコンピュータで管理された研究所」ということ、かなあ。

(主人公は大学の工学博士、ヒロインはその工学部の学生)

多くのミステリーは「人間が嘘をついている」のに対して、「機械は嘘をつかない」という前提から話が進むのは独特です。

感想

久しぶりにすごく腑に落ちるミステリーだった。

ネタバレ無しと言った以上トリックや結末に関する話は出来ないのだけれど、それでもこうして感想文を書きたくなるぐらい綺麗で鮮やかだった。

トリック以外の部分だと、登場する研究所はほぼ全てがコンピュータで管理されていて、所員同士の会話や会議もすべてネットワーク上で行うし、中でも天才プログラマの真賀田博士は10年以上外界との(物理的な)接触を遮断して研究を続けている、っていう世界観が、毒のような薬のような強烈な印象だった。

この小説は1996年(!)に発表されたもので、それからの20年で世界は確実にこの『すべてがFになる』側の世界観に近づいている。

他者と物理的に隔絶された生活の良し悪しなんて本文中では全く論じられてはいないのだけれど、それでも最後までこの小説を読むと「他者からの干渉」という要素についてすごくすごく考えざるを得ない。

あとこれは完全に余談だけれど、主人公たちの通う国立N大学は現実には全然ステキなところじゃないのでくれぐれも誤解しないように、って誰かが言ってました。

アニメ・ドラマもある

どちらも見たことがないので詳しいことは言えませんが、イメージが固まりすぎるのが嫌だったら原作、とっつき易さを取るなら映像作品でしょうか。いますごくアタリマエのことを言いました。

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